え?新婚旅行中の病気やケガの治療費に日本の健康保険が使えるの?
でもそれだけじゃ治療費は足りないみたいよ!
新婚旅行中に病気やケガで医療機関で治療をしたとき、日本と比べてもかなり高額な治療費がかかることが知られています。
しかし、このときの治療費の一部は日本の健康保険でまかなえることを知らない人も少なくありません。
そこで、新婚旅行中でも使える健康保険の中身と注意点について解説しますのでご覧ください。
新婚旅行中の病気やケガの治療費の一部は日本の健康保険(海外療養費)が使える
海外旅行中の病気やケガで支払った治療費の一部は、日本の健康保険の海外療養費というものでまかなうことができます。
申請には、診療内容明細書(1)、領収明細書(2)、医療機関の領収書(3)、パスポート、保険証、世帯主の印鑑、通帳などが必要です。
(1)(2)(3)については日本語に翻訳したものも必要となります(翻訳者が署名し、住所および電話番号を明記)。
海外療養費が使えるケース
海外療養費は、海外旅行等に出かけた人が、急な病気やけがで海外の病院等で治療を受けた場合に帰国後に申請すると、療養費の支給を受けられる場合があるという制度です。
海外療養費が使えるケースは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。
ですから、日本国内で保険診療として認められていないものや、治療目的で渡航した場合の治療費は海外療養費に含まれませんので注意が必要です。
海外療養費の対象とならないケース
- 治療を目的に渡航したとき
- 医療機関が発行した書類から、診療内容明細や領収明細が読み取れないとき
- インプラント(歯科治療)
- 給付外ブリッジ(歯科治療)
- 治療用装具
- 鍼灸、あんま・マッサージ、カイロプラクティック(整体)
- 日本の保険診療の扱いとなっていない、世界でもまれな最先端医療
- 日本では認可されていない薬剤
- 医師の診断・処方に基づかない薬剤
- 差額ベッド代(個室料・ルームチャージ)
- 断書代(文書代、証明料)
- 消耗品等(おむつ、寝具、ランドリー代金 等)
- 救急車代
- 健康診断、定期的な検査・検診(病名のないもの)
- 予防接種
- 自然分娩
- 人工授精等の不妊治療
- 美容整形
- 性転換手術
海外療養費で受け取れる金額
海外療養費で受け取れる金額は、現地支払額(のうち認められた額)と日本国内で同様の傷病で治療を受けた場合の「標準額」のいずれか少ないほうから、一部負担金相当額(1~3割)を控除した額となります。
また、支給額の算定は、支給決定日の外国為替換算率(売りレート)を用います。
現地での治療費が10万円で、日本国内で同等の保険診療を受けたときの金額が5万円だった場合、7万円を受け取れるのではなく、5万円の7割の3万5千円を受け取れる計算です。
国保と健保の違い
国保(自営業者など)と健保(会社員など)、それぞれに海外療養費の制度がありますが、制度内容に特に違いはありません。
違いがあるとすれば、申請する窓口です。
国保・・・居住する市区町村の窓口
健保・・・協会健保の各窓口
どちらにも共通していることで、申請に対する時効が2年と設定されていることがりますので、申請が必要となったら早めに手続きを行うようにしましょう。
健保の窓口については、全国健康保険協会のホームページをご覧ください。
海外での治療費は高額になるので必ず海外旅行保険に加入することが大切
海外療養費は日本で保険診療として認められている医療行為に限り利用することができますが、それだけで治療費が足りるということはほとんどありません。
そのためにも、海外旅行保険に加入することをおすすめしています。
同じ治療内容でも海外では日本国内での治療費よりも高額になる
新婚旅行の準備 海外旅行保険の補償内容の考え方でもお伝えしていますが、海外で病気やケガの治療を行った場合、日本国内でかかる治療費をはるかに上回る金額になることがあります。
例えば、日本国内で虫垂炎(盲腸)の手術・治療を行った場合、平均的には3割の保険適用で約15万円程度がかかりますが、これがハワイのホノルルだった場合、256万円と高額になります。
仮に海外療養費を申請したとしても、日本国内で治療をした場合の残り7割分(35万円分)に対しての適用にしかなりませんので、残りの221万円は自腹となってしまいます。
なお、海外での治療費が、日本で同じ医療を受けた場合の治療費と比べて低額な場合は、海外での医療費が基準になることも合わせて覚えておきましょう。
このように高額な治療費の負担を軽減させるためにも、海外旅行保険への加入が必要となります。
海外旅行保険なら現地で治療費を支払う必要がない(キャッシュレス)の場合もあるので便利
海外旅行保険には、現地の医療機関で治療費を支払うことがないキャッシュレスサービスがついているものがあります。
海外療養費は申請してから受け取りまで約3ヶ月かかりますので、ひとまず治療費は自腹で立て替える必要がありますが、海外旅行保険に加入していれば保険会社が治療費の立替をするので、現地で治療費を支払う必要はありません。
まとめ
新婚旅行先で病気やケガをしてしまった場合、現地の医療機関で支払った治療費の一部は健康保険の海外療養費の支払い対象となります。
ただし、返ってくる金額は治療費と比べてもごく一部ですので、不足分を補うためにも必ず海外旅行保険には加入しておきましょう。